概要
2016年3月28日、4月10日、23日に、日本学術振興会(以下、学振)の特別研究員へ応募するための申請書の作成を支援するワークショップを実施しました。
ここでは、申請書を作成する人を作成者、その作成を支援する人をメンターと呼びます。
2015年度のワークショップの反省(実施報告へのリンク)を活かし、メンターの負担を減らすため、メンターは可能ならば最大2人の作成者の申請書を事前にチェックするということにして、メンターミーティングは行いませんでした。
また、ワークショップ前に申請書の質を上げてもらうため、作成のポイントがまとめられたチェックシート、申請内容の構成が明確になるワークシートを用意して、作成者は事前にそれらのシートの準備をするようお願いしました。
ワークショップは、オリエンテーション、ピアレビュー、申請書レビュー、メンタリング、振り返りの流れで行われました。
参加者のチームおよびグループ編成
このワークショップでは、メンター1人と作成者最大2人のチームを作りました。
また、チームを2つ合わせたグループも作りました。
後述するピアレビューはグループで、メンタリングはチームで行いました。
ワークショップの具体的な流れ
13:00~13:30 オリエンテーション
WSの趣旨や流れの説明、参加者の自己紹介、申請書作成のポイントに関するコメントが行われました。
13:30~14:30 ピアレビュー
作成者がワークシートを用いて内容に関する説明(5分間)をした後、申請書の改善に関する議論(9分間)をグループで行いました。
グループは、基本的に作成者が4名、メンターが2名で構成されているため、上記のプロセスを4回繰り返しました。
ワークシートを用いて、内容の構成やロジックに改善点がないかを中心に議論しました。
14:30~15:00 申請書レビュー
次のメンタリングに入る前に、申請書を読む時間を設けました。
グループは、基本的に作成者が2名、メンターが1名で構成されているため、メンターは作成者2名分の申請書、作成者はもう1名の申請書を読み、改善点を考えました。
15:00~17:00 メンタリング
メンターと作成者が一対一で1時間を目安に申請書の改善に関する対話(メンタリング)を行いました。
メンタリングを受けていない作成者はその様子を PC でメモし、適宜フィードバックも行いました。
17:00~17:30 振り返り
ワークショップを振り返り、学んだことを共有しました。
ワークショップの良かった点、改善できる点
前回の反省を活かし、事前に発生していたメンターの負担を軽減できた点は良かったです。
また、ワークショップの設計を大きく変えたため、時間が有効に利用できた点も良かったです。
しかし、基本的にグループやチームでの作業がメインになってしまったため、全体での情報共有が少なかった点が改善の余地があると感じました。
おわりに
まだ改善の余地があるワークショップではありましたが、多くの作成者が満足してくれていたようでした。
また、メンターも申請書の作成のコツを共有することができ、満足されている様子でした。
それらをふまえると、全体としてはやって良かったと感じています。
今後も、今回の反省を活かして、よりよいワークショップを作っていきたいと思います。
(付録)ワークショップ実施の背景
日本学術振興会特別研究員は、研究者になる上で重要な肩書きと言っても過言ではありません。実際、特別研究員になった者を対象にした5年経過後調査では、80.5%が「常勤の研究職」に就いています(日本学術振興会 2015)。
また、特別研究員の申請書を作成することを通して、研究内容や計画が洗練されていくことを、一度でも書いた方は感じられたのではないでしょうか。
そういった意味では、特別研究員になること自体のみならず、申請書を作るプロセスにも価値があるといえます。
1人で試行錯誤しながら作成することも重要かもしれませんが、私としては作成に関して知恵があるならば、それを共有した方が、全体として申請書の質が向上し、ひいては研究の質が向上すると強く感じ、本ワークショップを企画、実施いたしました。
【参考文献】
日本学術振興会(2015)特別研究員-DCの就職状況調査結果について,https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/pd_syusyoku/27_dcgaiyou.pdf(2017年4月3日参照)
(東大 FFP 1期生 吉田塁)