} 【開催報告】「インタラクティブ・ティーチング」アカデミー第5回「模擬授業クリニック」 – 東京大学ファカルティ・ディベロップメント | 東大FD | TODAI FD.COM | 東京大学

新着情報
お知らせ

2018年09月18日

【開催報告】「インタラクティブ・ティーチング」アカデミー第5回「模擬授業クリニック」

先日終了しました下記のイベントにつき、当日の模様と、次回の予告について簡略ながらご報告します。

「インタラクティブ・ティーチング」アカデミー 第5回「模擬授業クリニック」

日時:2018年8月5日(日)9時~17時
場所:東京大学本郷キャンパス 工学部2号館93B教室
参加者数:26名(うち模擬授業実施者6名)
講師:栗田佳代子(東京大学 大学総合教育研究センター)
吉田塁(東京大学 教養学部)
中村長史(東京大学 大学総合教育研究センター)

1.テーマ・目的
今回のテーマは、「模擬授業」でした。「学習者の学びを促す授業を実施できる」という目的のもと、より具体的には、下記の到達目標を定めました。
①「学習の科学」(モチベーションなど)について理解し授業設計に活用できる(事前学習に対応)
②他者の模擬授業を改善する作業を通して、授業実施の際に注意すべき観点を説明できる(当日に対応)
③自身の模擬授業を改善する作業を通して、よりよい実践に活かせる(当日に対応) *③は模擬授業実施者のみ

2.概要
反転授業型の本講座では事前学習の機会が設けられていました。当日は、事前学習を踏まえて、模擬授業の実施・検討を行ないました。
(1)事前学習
動画「インタラクティブ・ティーチング」および書籍『インタラクティブ・ティーチング』(河合出版、2017年)の「学習の科学」に関する部分(week3、3章)を視聴・読了してくることが参加者全員に課されました。学びを促す授業を実施するうえで、モチベーションの喚起等に関する理論が重要となるためです。また、模擬授業実施者には、授業案や当日の資料の事前提出が求められました。

(2)当日
【1】趣旨説明(9時~9時15分)
本日のプログラム全体の目的や構成、本イベントにおけるルールを確認した後、参加者同士の自己紹介を行ないました。今回の参加者は、模擬授業の実施者6名と模擬授業を受ける立場の非実施者20名で構成されています。

【2】模擬授業の実施・検討1回目(9時15分~12時10分)
まず、模擬授業を実施・検討する意義について確認しました。その後、2つの教室に分かれ、3人ずつ模擬授業を行ないました。ここでは、一人6分間の模擬授業後、それぞれ40分間の意見交換の時間を設け、優れている点と改善点・改善案をグループごとおよび全体で検討しました。最後に、もう一度全員で集まり、午後の2回目の実施・受講に向けて留意すべき点を確認しました。

模擬授業の様子

 

【3】模擬授業の改善[実施者]/模擬授業から学べること[非実施者](13時10分~14時10分)
2つの教室に分かれて実施しました。
模擬授業実施者は、1回目の実施の際に得たフィードバックを踏まえて、各人の授業の改善に取り組みました。
一方、非実施者は、1回目の模擬授業について検討して学んだことについてまず互いに共有し、次に授業をよくするフィードバックを行うために、授業をみる観点について検討し、まとめました。

【4】模擬授業の実施・検討2回目(14時20分~16時30分)
1回目の実施の際のフィードバックを踏まえて改善された授業を、今度は6名全員が同じ教室で実施しました。ここでは、6分間の模擬授業後、それぞれ10分間の意見交換の時間を設け、優れている点や改善された点、なお残る改善点や改善案について意見交換しました。当該授業を初めて聴く方と二回目の方の双方の視点から検討を行なうことに、その狙いがありました。

【5】まとめ(16時30分~17時)
まとめでは、本日学んだことや疑問に思ったことと、それを踏まえて翌日以降に各人の現場に持ち帰るものとを、グループワークや質疑応答を通して、確認しました。

参加者同士の学び合い(まとめ)の様子

3.参加者の反応
参加者26名の構成は、大学・高専教職員11名、大学院生・PD6名、高校・中学校教職員3名、小学校教職員2名、専門学校等教職員2名、企業2名でした。満足度について5段階評価(際立って良かった、大変良かった、良かった、まあまあ、良くなかった)で尋ねたアンケートでは、56%の方が最高評価の「際立って良かった」、40%の方が次点の「大変良かった」、4%の方が「良かった」と回答されました。ワークショップに二日間参加したことで今後の実践は変わりそうかについて、やはり5段階評価(大きく変わると思う、変わると思う、あまり変わらないと思う、全く変わらないと思う、わからない)で尋ねたアンケートでは、35%の方が最高評価の「大きく変わると思う」、同じく61%の方が次点の「変わると思う」、4%の方が「あまり変わらないと思う」との回答でした。
自由記述欄にいただいたコメントには、以下のようなものがありました。

  • 「多様な方々からフィードバックをいただいたことで、日ごろにはない視点が得られた」(模擬授業実施者)
  • 「検討して終わりではなく、その日のうちに具体的な改善までできてよかった」(模擬授業実施者)
  • 「あらためて授業を検討する観点を整理できた」(模擬授業受講者)

4.次回予告
次回以降ですが、11月11日(日)にシラバスをテーマとした一日完結の講座を予定しております。詳細が決まり次第、お知らせいたします。皆様のご参加をお待ちしております。

参考情報
動画「インタラクティブ・ティーチング」 JREC-IN webサイト  東大FD webサイト
書籍『インタラクティブ・ティーチング』(河合出版、2017年)
https://www.kawai-publishing.jp/book/?isbn=978-4-7772-1794-6(河合出版webサイト)

中村長史 (「インタラクティブ・ティーチング」担当・特任研究員、本講座総合司会)

一覧へ戻る