実施日:2017年11月2日(木)
東京大学大学総合教育研究センターのプロジェクト「Professional and Global Educators’ Community(PAGE)」では、「英語でのクラス・マネージメント」と題したワークショップを実施しました。これからの大学教員には研究能力だけでなく教育能力も求められます。大学進学率の増加やグローバル化の影響で、多様な文化的背景をもった学生向けに英語で授業を運営するスキルがますます必要になっています。そのようなニーズを受けて、PAGEプロジェクトでは、教員養成の専門家であるJan Sølberg先生(コペンハーゲン大学准教授)を講師として招き、ヨーロッパの高等教育の現状を踏まえつつ、英語でのクラス運営の方法に関するワークショップを開催しました。
ワークショップは伊藤国際学術研究センター(東京大学本郷キャンパス)で行われ、東京大学の大学院生・ポスドク・若手研究者を合わせた26名の方々にご来場頂きました。英語を使用言語とした3時間にもわたるワークショップでしたが、学内の様々な分野から多くの方々にご参加頂きました。
最初に、ヨーロッパの高等教育における国際化の現状に関して、Jan先生による
レクチャーが行われました。コペンハーゲン大学では理系教員の35%と理系学生(修士課程)の46%が外国籍であるという話に、グローバル化の現状をまざまざと実感した参加者も多かったようです。さらにJan先生は、大学教員が英語で授業を行う際に直面しやすい問題として、三つのケースを紹介されました。一つ目は、英語での試験と成績評価をどのように行うのかという悩み。二つ目は、英語でのグループワークをどのように組織すればよいのかという悩み。三つ目は、様々な文化的背景と教育観を持った学生のニーズにどのように応えればよいのかという悩み。いずれも、昨今の大学教員に解決が求められている切実な課題です。
参加者はJan先生のレクチャーに真剣に耳を傾けていました。
レクチャーに続いて、4−5名の規模でグループワークを行ないました。
グループワークの課題は以下のようなものでした。
①「教授言語としての英語」(EMI:English as a Medium of Instruction)の活用にともなう重要な問題点を三つ挙げて、大型のポストイットに記入する。
②上記のポストイットを隣のグループに回し、各グループはそこに記載された問題点のひとつを取り上げて有効な解決方法を考える。その解決策を別のポストイットに記入し、先ほどのポストイットと並べて壁に貼り付ける。
③壁に貼られた一連の問題点と解決策を読み、他のグループの参加者と意見を交わす。
どのグループも熱心に課題に取り組み、活発な議論を繰り広げていました。
他の参加者が自分とは異なる分野の研究者であったことが功を奏して、多様な視点での意見交換がなされている様子でした。他のグループに質問するために会場を移動したり、Jan先生と議論を交わしたりする参加者の姿があちこちに見られました。
グループワークを終えた後は、まとめのレクチャーをJan先生に行って頂きました。英語で授業を行うときの授業準備のポイント、孤立しがちな学生とのコミュニケーション方法、学生に課題を提示するときに配慮すべき点など、具体的なアドバイスが示されました。
3時間にも及ぶ長丁場のワークショップにもかかわらず、会場には最後まで議論の声が尽きませんでした。参加者からは、「すごく充実した授業でした。Active participationが生きていた構成だと思います」「教育について他の分野の方とディスカッションする良い機会となりました」「It’s nice to have a lot of communication with people from different fields.」といった好意的な感想が寄せられました。
今後もPAGEでは、英語でのアカデミックコミュニケーション能力の向上を目指して、継続的にワークショップを行っていく予定です。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
※PAGEの提供する無料英語オンライン講座English Academiaについて、詳しくはこちら
https://utokyo-ea.com
※※プロジェクトの活動について、詳しくはこちら
https://www.he.u-tokyo.ac.jp/activities/page/